緩和ケアは終末期だけではない

「緩和ケア」と聞くと、終末期のためのものというイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし実際には、診断を受けた早い段階から始めるものとされています。
治療中の痛みや吐き気・倦怠感といった身体的な症状、不安や落ち込みなどの精神的なつらさ、仕事や金銭的なお悩みまで、幅広くサポートするのが緩和ケアです。治療を続けながら、できるだけ自分らしく毎日を過ごすための支えと考えてください。大阪市北区・梅田のブレストクリニック堂島でも、治療中の生活サポートを継続して行っています。
身体的な苦痛へのアプローチ
乳がんの治療中には、手術後の痛み・化学療法による吐き気や倦怠感・ホルモン療法による関節の痛みや不眠など、様々な身体症状が現れることがあります。これらは「治療だから仕方ない」と我慢するものではなく、適切な対処法や薬剤で軽減を図ることができます。
痛みには鎮痛薬を段階的に用いるほか、吐き気には制吐薬・不眠には睡眠に関するアドバイスや薬剤など、症状に合わせた対応があります。副作用の出方には個人差があるため、「こんなことを言っていいのか」と遠慮せず、気になる症状はその都度お伝えください。副作用を最小限に抑えるための処方やケアをご提案いたします。
精神的・心理的サポート
がんの診断を受けた後、不安・恐怖・悲しみ・怒りなど、様々な感情が出てくるのは自然なことです。「なぜ自分が」という思いや、治療に対する不安、先のことへの恐れは、多くの方が経験します。
当院では、患者様のお気持ちに寄り添いながら、「あともう少し、一緒に早く終わらせよう」という姿勢で伴走することを大切にしています。化学療法の残り回数を一緒に確認しながらゴールを意識すること、腫瘍が縮小していく経過を目で見て共有することが、治療を続けるモチベーションの支えになります。
生活・社会的サポートと金銭的な相談
治療中・治療後の生活を支えるための社会制度や相談窓口を知っておくことは、とても重要です。
治療費と経済的支援
乳がんの治療は長期にわたることが多く、費用の負担が生じます。高額療養費制度(月ごとの自己負担額に上限を設ける制度)や限度額適用認定証の活用で、窓口での支払いを軽減できます。加入している生命保険や医療保険の給付金、会社員であれば傷病手当金(休職中に支払われる給付)なども活用できる場合があります。医療費控除(確定申告での税負担軽減)も忘れずに確認しましょう。医療ソーシャルワーカーに相談することで、状況に合った制度を一緒に整理してもらえます。
目標に合わせた治療スケジュール
「治療中は何もできない」という必要はありません。旅行に行きたい、大切な家族の行事に参加したいといった患者様のご希望がある場合、感染対策を徹底しながら、その予定に合わせた治療スケジュールを組む配慮を行っています。「楽しみがあること」が、治療を乗り越えるモチベーションになります。
一人で抱え込まないために
緩和ケアは、治療の妨げになるものではなく、治療を続けていくための土台です。つらい症状を軽減し、QOL(生活の質)を保ちながら治療に向き合うことが、長期的な回復への近道になります。お一人で抱え込まず、医療チームとともに歩んでいきましょう。