免疫療法とは

免疫療法は、体本来の免疫機能を活性化・強化することでがん細胞を攻撃する治療です。従来の抗がん剤が直接がん細胞を攻撃するのに対し、免疫療法は免疫システムを介してがんに働きかける点が特徴です。
乳がんに対する免疫療法は、特定のサブタイプ(乳がんの種類)に対して有効性が示されており、近年その適応範囲が広がっています。検診で乳がんが確認された後の治療の選択肢の一つとして、サブタイプに応じて検討されます。大阪市北区・梅田のブレストクリニック堂島では、治療が必要と判断された場合に連携医療機関をご紹介しています。
乳がんのサブタイプとは
乳がんは、がん細胞の性質によっていくつかの「サブタイプ」に分類されます。分類の基準となるのは、女性ホルモンの受容体(ER・PgR)の有無と、HER2タンパクの発現の有無です。サブタイプによって、有効な治療方法が異なります。
主なサブタイプは以下の通りです。
ルミナール型(ホルモン受容体陽性・HER2陰性)
ホルモン療法が中心的な治療になります。
HER2陽性型(HER2過剰発現)
HER2を標的とした分子標的療法が有効です。
トリプルネガティブ型(ER陰性・PgR陰性・HER2陰性)
ホルモン療法も分子標的療法も効きにくく、化学療法が基本でしたが、近年は免疫療法の追加によって治療の選択肢が広がっています。
サブタイプと免疫療法の関係
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)への適応
乳がん全体のうち約15~20%を占めるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、ホルモン受容体もHER2も発現していないタイプです。他のサブタイプと比べて進行が速い傾向があり、従来は化学療法が唯一の選択肢でした。近年、PD-L1陽性のTNBCに対して、免疫チェックポイント阻害薬を化学療法と組み合わせる治療が承認され、新たな治療の選択肢となっています。
HER2陽性型と分子標的療法
HER2陽性型の乳がんには、HER2を標的とした分子標的薬(抗HER2療法)が有効です。これらは免疫療法とは厳密には異なりますが、がん細胞の特定の分子を標的とするという点で、免疫療法と近い概念の治療として位置づけられることもあります。手術前・手術後のどちらでも使用されます。
ルミナール型への適用
ホルモン受容体陽性のルミナール型では、現時点では免疫療法が標準的な治療として用いられることは少なく、ホルモン療法や化学療法が中心となります。ただし、がんの状態や治療への反応性に応じて、組み合わせが検討されることもあります。
免疫チェックポイント阻害薬について
免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が免疫を回避するために使う仕組み(チェックポイント)をブロックすることで、免疫細胞ががん細胞を攻撃できる状態を取り戻す薬剤です。特にPD-1・PD-L1という経路を標的とした薬剤が乳がん治療で用いられています。
使用できるかどうかは、がん細胞におけるPD-L1の発現状況を病理検査で確認した上で判断されます。すべての乳がん患者様が対象となるわけではなく、検査結果と病状に応じて適応が決まります。化学療法と組み合わせて使われることが多く、点滴で投与する治療です。
副作用について
免疫チェックポイント阻害薬は、抗がん剤とは異なる種類の副作用が現れることがあります。免疫が過剰に働くことで起こる「免疫関連副作用」が特徴的で、皮膚の炎症・甲状腺機能の異常・肝機能障害・間質性肺炎などが起こる可能性があります。
これらは放置すると重篤化することがあるため、治療中は定期的な血液検査や体調の変化の確認が重要です。体に変化を感じた時はすぐに担当医へ伝えることが、安全に治療を続けるための大切なポイントです。