乳がんの原因・リスク要因

乳がんの原因・リスク要因

乳がんが増えている背景

乳がんが増えている背景

乳がんは特定の原因によって発症するというより、複数の要因が重なり合って発症するケースがほとんどです。世界的に増加傾向にある病気で、日本でも女性がかかるがんの中で最も多い疾患となっています。

かつて14~15人に1人とされていた罹患率が、現在はおよそ9人に1人まで高まっており、その背景には高齢化の進展や生活習慣の変化、晩産化・少子化といった社会的な変化が関係しているとされています。また、検診技術の向上により早期発見が増えたことも、統計上の罹患率を押し上げる要因の一つとなっています。

女性ホルモン(エストロゲン)との関係

乳がんの発症に深く関わるとされているのが、女性ホルモン(エストロゲン)です。エストロゲンは乳腺の発育と機能を支えるホルモンですが、長期間にわたって乳腺が過剰な刺激を受け続けることで、細胞の異常増殖リスクが高まると考えられています。

リスクを高めるライフイベント

エストロゲンにさらされる期間が長くなる要因として、初潮が早い(11歳以前)、閉経が遅い(55歳以降)、出産経験がない、初産の年齢が遅いといったことが知られています。近年の晩婚化・晩産化や少子化の影響で、妊娠・授乳を経験する機会が社会全体として減少していることも、リスクの観点から注目されています。一方、授乳を経験した期間が長いほどリスクが低下するというデータもあります。

ホルモン療法・経口避妊薬の影響

閉経後のホルモン補充療法(HRT)や、経口避妊薬(ピル)の長期使用もリスクに関わる要因として挙げられています。これらを使用中の方は、積極的に乳がん検診を受けられることをおすすめします。

生活習慣に関するリスク要因

食生活の欧米化・運動不足・肥満といった生活習慣の変化も、日本での乳がん増加に関わっていると言われています。飲酒については、少量でもリスクに影響する可能性があり、摂取量が増えるほどリスクが高まる傾向が知られています。閉経後の肥満は、脂肪組織でエストロゲンが産生されることで、ホルモンの影響が継続しやすくなることが背景にあります。

適度な有酸素運動にはリスクを低減する可能性があるとされており、日常的な身体活動もリスク管理に役立ちます。当院では、乳がん検診に合わせて、栄養や生活習慣についてもご相談を承っています。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)とBRCA遺伝子

乳がんの多くは遺伝とは無関係に発症しますが、全体の5~10%程度は遺伝的な要因が関わっているとされています。その代表が「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」です。HBOCは、BRCA1またはBRCA2という遺伝子に生まれつき変異がある場合に起こり、乳がんや卵巣がんの発症リスクが一般の方と比べて高まることが知られています。

こんな方は一度ご相談を

次のような状況が当てはまる場合は、遺伝的なリスクについて一度専門医に相談することをおすすめします。

  • 母・姉妹・祖母・叔母など、近い血縁に乳がんや卵巣がんの方が複数名いる
  • 家族が比較的若い年齢(40歳未満)で乳がんを発症している
  • 家族に男性乳がんの方がいる

当院ではBRCA遺伝子検査に対応しています。遺伝性のリスクが気になる方はお気軽にご相談ください。

その他のリスク要因

加齢・放射線被ばくのリスク

加齢も乳がんの重要なリスク要因の一つです。乳がんは30代から発症リスクが高まり、40~50代にかけて最も多く見られますが、若い世代での発症も珍しくありません。また、過去に乳房や胸部への放射線治療を受けたことがある場合もリスクが高まる可能性があります。

高濃度乳腺とリスクの関係

高濃度乳腺(乳腺が密な状態)の方はマンモグラフィで変化が見えにくいことがあり、超音波検査(エコー)と組み合わせた検診が有効です。自分の乳腺の状態を把握しておくことも、適切な検診方法を選ぶ上で大切な情報になります。

豊胸後の方が知っておきたいこと

豊胸と乳がんリスクの関係

シリコンバッグによる豊胸手術が乳がんの発症リスクを直接高めるというエビデンス(科学的根拠)は、現時点では確立されていません。ただし、シリコンバッグ挿入後の方には、乳がんとは別の疾患として「BIA-ALCL(乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫)」が生じることがあります。

BIA-ALCLについて

BIA-ALCLは極めて稀な疾患ですが、インプラント周囲の組織に発生するリンパ腫の一種です。主な変化としてインプラント周囲への液体貯留や腫れなどが挙げられます。早期に発見されれば対処しやすいとされているため、シリコンバッグ挿入後の方は定期的な状態確認を続けることが大切です。当院ではBIA-ALCL関連の検査・相談に対応しています。

リスクにかかわらず、定期的な検診を

乳がんは、早期に発見されるほど治療の選択肢が広がり、体への負担を抑えながら向き合える可能性が高まります。リスク要因のある方には、検診の頻度を高めたり、MRI検査を組み合わせたりといった個別の対応が勧められることがあります。当院でも、リスクの状態に応じて連携医療機関でのMRI検査などを個別にご提案しています。

リスク要因がない方も、乳がんと無縁というわけではありません。定期的な検診を続けることが、最も確実な備えです。乳がん検診をお考えの方は、大阪市北区・梅田のブレストクリニック堂島へご相談ください。