乳がんとは

乳がんは、乳房の乳管(母乳を運ぶ管)や乳腺(母乳を作る組織)に発生する悪性腫瘍です。正常な細胞が異常な増殖を始め、しこりや腫瘍を形成します。初期段階では乳管や乳腺の中にとどまっていますが、進行すると周囲の組織へと広がり(浸潤)、リンパ節・肺・骨・肝臓などへ転移することがあります。
乳がんは、日本人女性がかかるがんの中で最も多い疾患です。かつては14~15人に1人とされていた罹患率が、現在はおよそ9人に1人まで高まっています。しかし、治療技術は着実に進歩しており、早期に発見されるほど、体への負担が少ない方法で治療に臨める可能性が高まります。
大阪市北区・梅田のブレストクリニック堂島では、乳腺専門医が乳がん検診を実施しています。乳がんについて気になることがあれば、まずは一度お気軽にご相談ください。
こんな症状はありませんか?
乳がんは、初期段階では自覚症状がほとんどない場合が多いです。しかし、以下のような変化が乳房や周辺に現れた場合は、乳がんのサインである可能性があります。気になる変化があれば、早めに受診されることをおすすめします。
乳がんの原因・リスク要因
乳がんの発症には、ホルモンバランス・遺伝的な素因・生活習慣など、複数の要因が複合的に関わっています。女性ホルモン(エストロゲン)の影響を長期間受け続けることがリスクを高めるとされており、初潮が早い、閉経が遅い、出産・授乳の経験がないといった要因が知られています。
飲酒・肥満・高脂肪な食事なども関連する要因として挙げられます。また、ご家族に乳がんや卵巣がんの方が複数名おられる場合は、遺伝性乳がんを考慮する必要があります。当院では、BRCA遺伝子検査にも対応しており、遺伝リスクが気になる方もご相談いただけます。リスク要因があるからといって必ず発症するわけではなく、リスクがなくても発症することもあります。正しく理解した上で、定期的な検診を続けることが大切です。
乳がんの種類
乳がんは、発生する場所や広がり方によっていくつかに分類されます。
乳管がんと小葉がん
最も多いのは、乳管に発生する「乳管がん」で、乳がん全体の大半を占めます。乳腺の小葉(母乳を作る部分)に発生する「小葉がん」もあります。
非浸潤がんと浸潤がん
がんが乳管や小葉の中にとどまっている段階を「非浸潤がん」、周囲の組織に広がった状態を「浸潤がん」と言います。非浸潤がんの段階で発見されれば、体への影響が少ない状態で治療に臨める可能性があります。乳がんの種類によって治療方針が変わるため、正確な診断が重要です。
乳がんのステージ
乳がんの進行度は「ステージ(病期)」という指標で表され、0期からⅣ期まで分類されます。ステージによって治療の方針が変わるため、発見時の段階が、その後の対応を考える上で重要な情報となります。
| ステージ | 主な状態の目安 |
|---|---|
| 0期 | がん細胞が乳管や小葉の内部にとどまっており、転移がない状態(非浸潤がん) |
| Ⅰ期 | しこりの大きさが2cm以下で、リンパ節への転移がなく、乳房内にとどまっている状態 |
| Ⅱ期 | しこりが2cmを超える、または脇のリンパ節への転移がある状態(遠隔転移はなし) |
| Ⅲ期 | 脇の下や胸骨周辺のリンパ節に広く転移している、または胸壁・皮膚に及んでいる状態 |
| Ⅳ期 | 骨・肺・肝臓・脳など、離れた臓器に転移している状態 |
乳がんの病期分類(TMT分類)

早期に発見されるほど、体への負担が少ない方法で治療が可能になります。ステージが進んでいる場合でも、近年は様々な治療の選択肢があります。まずは正確な状態を把握することが、その後の方針を考える出発点となります。
発症年齢と統計データ
乳がんは30代から発症リスクが高まり始め、40~50代にかけて最も多く見られます。ただし、20~30代の若い世代での発症も珍しくなく、「まだ若いから大丈夫」とは言えません。
現在、日本人女性のおよそ9人に1人が乳がんを経験するとされており、この数字は年々増加しています。早期に発見された場合と、進行してから発見された場合では、その後に選べる治療の幅に大きな差が生じます。
乳がんの検査
乳がんを早期に発見するためには、定期的な検診が欠かせません。主な検査方法として、超音波検査(エコー)とマンモグラフィがあります。
超音波検査(エコー)
エコーは放射線を使わず乳腺の内部を画像で確認できる検査です。体への負担が少なく、乳腺が密な方(高濃度乳腺)にも有効なのが特徴です。
マンモグラフィ
マンモグラフィはX線で乳房を圧迫して撮影し、エコーでは発見しにくい石灰化や乳腺の構造の乱れなどの初期変化の検出を得意とします。年代や乳腺の状態に合わせて二つを組み合わせることで、より精度の高い検診が可能になります。
また、検診と並行して「ブレストアウェアネス(乳房の変化に気づく習慣)」を習慣づけることも、早期発見に役立ちます。
FAD(局所的非対称性陰影)とは
マンモグラフィ検査で指摘されることのある「FAD(Focal Asymmetric Density:局所的非対称性陰影)」とは、左右の乳房を比較した際に、片側にだけ濃く写る影のことです。明確な「しこり(腫瘤)」とは判定できないものの、周囲と比べて局所的に濃く見える領域を指します。
FADが指摘される原因の多くは、正常な乳腺組織が単に重なって写ったものですが、ごく稀に早期の乳がんや良性の腫瘍が潜んでいる可能性もあります。そのため、FADと判定された場合は、超音波(エコー)検査や必要に応じた精密検査を行い、影の正体を正確に評価する必要があります。
乳がんの治療
乳がんの治療は、がんの種類・進行の度合い・患者様の状態に合わせて選択されます。主な方法として手術療法・放射線治療・化学療法・ホルモン療法・免疫療法があり、これらを組み合わせて行うことも多くあります。早期に発見されるほど、より多くの選択肢の中から治療方法を選べる可能性が広がります。
当院では、乳がんが見つかった場合にも、連携医療機関をご紹介し、治療の入り口までサポートします。治療後の生活や緩和ケアについてのご相談も承っています。