乳腺炎とは

乳腺炎は、乳腺に炎症が起きて乳房の赤み・腫れ・痛みや発熱が現れる状態です。授乳中に起こることが多い病気ですが、授乳とは関係なく発症することもあります。
大阪市北区・梅田のブレストクリニック堂島には、授乳トラブルや乳腺炎で受診されるお母様が多くいらっしゃいます。お子様を預けながら来院される20~30代の方も多く、産後や授乳中の乳房のトラブルについて気軽に相談できる環境を整えています。乳腺炎での受診の際にも超音波検査(エコー)で状態を確認し、他の病変が隠れていないかを併せて評価しています。
こんな症状はありませんか?
- 乳房の一部が赤くなり、触れると熱くて痛い
- 授乳のたびに強い痛みがあり、しこりのような張りがある
- 発熱と胸の痛みが同時に出ている
- 授乳を終えても乳房の張りや硬さが続いている
- 授乳していないのに、乳房が腫れて痛みがある
- 赤みや腫れが数日経っても改善しない
乳腺炎の原因
乳腺炎の発症には、大きく二つの経路があります。
授乳期の乳腺炎
授乳期の乳腺炎は、母乳の「うっ滞(乳管内への滞留)」と「感染」が主な原因です。授乳の間隔があく・赤ちゃんの飲み方が浅い・授乳姿勢が一定などの要因でうっ滞が起こりやすくなります。溜まった母乳に乳頭の傷から細菌が侵入することで、感染を伴う化膿性乳腺炎に進展することがあります。
授乳期以外の乳腺炎
授乳とは関係なく発症するタイプもあります。乳管の出口付近に炎症が起きる「乳輪下膿瘍」や、免疫の異常が関与する「肉芽腫性乳腺炎」などがあります。授乳経験のない方や閉経後の方にも起こることがあり、症状が長引きやすく繰り返すことがあるのが特徴です。
乳腺炎の種類
乳腺炎は発症の仕組みや特徴によって以下のように分類されます。
うっ滞性乳腺炎
母乳が乳腺内に溜まることで起こる炎症です。乳房の一部が硬くなり痛みや熱感が現れます。細菌感染を伴わないことが多く、適切なケアで改善が期待できますが、症状が続く場合は医療機関での確認が必要です。
化膿性乳腺炎
うっ滞した母乳に細菌感染が加わった状態です。高熱や強い痛み、患部の赤みと腫れが顕著になります。抗菌薬による治療が必要で、膿が多く溜まった場合は切開排膿が必要になることもあります。
非授乳期乳腺炎(肉芽腫性乳腺炎など)
授乳とは関係なく発症するタイプです。免疫の異常が関与する「肉芽腫性乳腺炎」は治療が難しく再発を繰り返すことがあります。炎症性乳がんと見た目が似ていることがあるため、正確な評価が重要です。
乳腺炎と乳がんの関係
乳腺炎での受診の際、当院ではエコーで状態を確認しています。その理由の一つが、「炎症性乳がん」との鑑別です。炎症性乳がんは乳腺炎と非常に似た症状(乳房の赤み・腫れ・熱感)を示す乳がんの一種で、しこりを形成しないことがあるため見分けが難しいとされています。
授乳期以外に乳腺炎の症状が現れた場合や、抗菌薬を使用しても数週間以上改善しない場合は、炎症性乳がんをはじめとする他の原因を除外するための検査が重要です。症状の改善を確認しながら、必要に応じて詳しい評価を進めます。
乳腺炎の検査
乳腺炎の状態を把握し、他の病変を除外するために、以下の検査を行います。
超音波検査(エコー)
乳腺内の炎症の広がりや膿が溜まっていないかを確認するのに有効な検査です。炎症性乳がんとの鑑別にも重要な役割を果たします。
マンモグラフィ
炎症が落ち着いた段階や、乳腺内に他の変化が疑われる場合に実施することがあります。エコーでは確認しにくい石灰化や乳腺全体の評価に役立ちます。
細胞診・針生検
炎症が改善しない場合や炎症性乳がんが疑われる場合は、穿刺吸引細胞診(細い針で細胞を採取して調べる検査)や針生検(局所麻酔をして組織の一部を採取する検査)で性状を確かめます。炎症の原因を明確にし、適切な方針を決定するために重要な検査です。
乳腺炎の治療
乳腺炎の治療は、タイプと症状の程度によって異なります。
うっ滞性乳腺炎の場合
母乳のうっ滞を解消することが基本です。赤ちゃんにしっかり飲んでもらう、授乳の姿勢や間隔を工夫する、溜まった母乳を適切に搾るなどの対応が効果的です。症状が続く場合や悪化する場合は、早めに受診することが重要です。授乳中でも使用できる薬が処方されることがあります。
化膿性乳腺炎・膿が溜まった場合
細菌感染を伴う場合は、抗菌薬による治療が必要です。膿が溜まっている場合は、切開して排膿する処置が行われることがあります。非授乳期乳腺炎で炎症が繰り返す場合は、炎症を起こしている組織の切除が検討されることもあります。手術が必要と判断された場合には、適切な連携医療機関をご紹介いたします。